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灸で治せるもの、治せないもの

最初に考えてみたいのは、病気が治るというのはどのような場合なのでしょうか。
病気の症状で痛みがあるのが痛く無くなったら、それは治ったことです。
また、風邪を引いて高熱が出た時にそれが平熱になれば治ったことですし、自由に動かせなかった関節が動かせるようになれば治ったことになるでしょう。
ちなみに世界保健機構(WHO)では病気の定義として、恒常性保持機能を逸脱した状態」としています。
この言葉は難しいのですが、具体的には体温が36.5℃で、心拍数が1分間に80前後、血圧の下が80、上が120という具合のようで、これが病気ではない健康体戸いうことになります。
したがって、このうちのいずれか、あるいは全てがこの数値を大きく外れた状態が病気だと言えるでしょう。
ところで、鍼灸は様々な病気に有効ですが、特に血行障害に原因する病気や体調不良の治療には効果を発揮します。
例えば骨折や筋肉の繊維の断裂でない痛みを緩和あるいは完治することができますから、ひどい肩凝りや腰痛などの症状の緩和に灸は大きな効果が期待できるでしょう。
ただし、灸で何でもが治せるというのではなく、鍼灸の治療で治る効果が期待できない場合もあります。
灸では治らない病気としては、チフスやコレラなどの法定伝染病や届出伝染病、高熱疾患、心筋梗塞などの重い心臓疾患、急性虫垂炎、様々ながんなどの悪性腫瘍、破傷風、丹毒、血友病、エイズ、壊血病などがあり、これらのいずれもはしかるべき専門の病院での検査、診療、治療が必要になります。

鍼で治せるもの、治せないもの

ある鍼灸師の方のお話によりますと、どんなに頑固な偏頭痛でも鍼灸で治る例が多いとのことです。
何故病院では治らない偏頭痛が鍼で治るかと言いますと、それは鍼灸師さんが患者の全身を診るからだとのことです。
偏頭痛の原因は一般的に、血管の拡張だそうで、病院ではこれに重点を置いて痛みを緩和する治療を行ないます。しかし、鍼灸では全身の循環システムを診て治療をするのだそうです。
この全身の循環システムを東洋医学では経絡(けいらく)と言いますが、人体の経絡は極めて複雑です。
したがって、偏頭痛を直す時にその重点が頭にあるとは限らず、頸や背中のコリが頭痛の原因の場合もありますし、胃腸の具合が悪かったりもするそうです。
このように東洋医学の鍼で偏頭痛が治るのは意外かもしれませんが、このような話はまだあまり良く知られていないようです。
また、このような場合偏頭痛が治るのと同時に頸や肩の凝りもなおるのですから、全身の循環システムに関係する病の多くは鍼灸治療で治らないまでも、改善されるようです。
ただし、いわゆるガンや糖尿病などの成人病の場合は鍼の効果にも限界があるようですから、そのような病気は鍼灸で治すわけにはいかないでしょう。
しかし、精神的なストレスや冷え性などは鍼で全身の血行を活発にすれば改善されるでしょうし、東洋医学の観点から考えれば、自律神経失調症や不眠症などにも鍼治療は有効なのではないでしょうか。

灸が効くメカニズム

灸が効くメカニズムは、灸がある意味では特殊な火傷だからです。
火傷の場合は熱で皮膚の組織が破壊されますから、新しい皮膚組織を作らなければなりませんし外部からの最近が侵入するのを防がなくてはなりません。
一方、灸で出来る火傷は小さなホクロのようなもので、もぐさしか作れない火傷で、しかも皮膚の表面を焦がすだけですから人体に害はありません。
灸が痛みに効くのは知られていますが、これを八分と言います。
例えば膝の痛みは軟骨がすり減ったり変形したりするのが主な原因ではなく、膝の周りにある筋肉や人体が硬くなり、伸びにくくなるからです。
この部分に八分灸をすえると硬かった筋肉などが柔軟になるのです。
そのメカニズムは、いくつかに枝分かれしている神経の末端の灸の熱刺激が電気刺激になって脊髄へと伝達され、次いで脳に伝わるので熱いと感じます。
この刺激は毛細血管の外側で毛細血管を広げる作用がある神経伝達物質を離しますが、これを「軸索反射」と言います。
毛細血管が拡張すると血流が活発になり、ヒスタミンなどの痛みを起こす物質を患部から運び出します。また、硬くなっていた筋肉に血液が流れるようになり、筋肉組織が柔軟になります。さらに灸が内臓疾患に効くメカニズムとは、身体の自律神経やホルモン、免疫機構の三位一体が崩れたのを修復するからです。すなわち、八分灸の熱刺激が電気刺激に変わり、神経を伝わって脊髄に行き、その刺激が脳の視床下部に伝わり、熱いと感じますが、この間にこの刺激が自律神経にも伝わり、交感神経と副交感神経の乱れを整えるのです。